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浜口準之助
浜口準之助 黄金サイクルと農耕民族型投資戦略 約15年にわたり機関投資家のファンドマネージャーとして株式運用に従事。信託銀行などで主に年金資金の日本株運用を行う。その後約14年にわたり投信運用会社にて投資環境のセミナー講師に携わる傍ら個人投資家として株式運用を行い、「億り人」の仲間入りを果たす。「浜口流コア・サテライト戦略」を提唱し自らも実践している。「醍醐味に満ちたライフワークとして、株式投資に勝るものなし」との基本観から、個人投資家に実践的な株式投資手法の研究を続けている。 社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『黄金サイクルと農耕民族型投資戦略』(パンローリング刊)、ブログ 浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用 をほぼ毎日更新中、こちらでは旅の話もしている。
浜口流コア・サテライト株式運用戦略の実践

第31回 海運株と半導体関連株は、下落に転じたのか

06月20日
浜口です。まずは今回も2週間ごとの定点観測を。前回の当ブログのアップ日(2022年6月6日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」銘柄について、上は株価が6月3日時点、下はその2週間後、株価が6月17日時点のデータです。この二週間を「断面」で見た場合、総じていえば。株式市場全体の下落に伴い、個別銘柄の株価も下落、特に海運株3社の下落が際立ちます。つまり前の二週間とは、真逆の展開になっているということです。


コア・サテライト戦略 株式銘柄群


コア・サテライト戦略 株式銘柄群



この状況において、ここ2週間で私が行った売買は。前回のブログでも書きました、「日本郵船買い・川崎汽船売り」のさや取りについて、利食いをしています。またRe-openinng(経済再開銘柄)として、9616共立メンテナンスに投資を開始しました。

前回のブログで購入したと書いた4385メルカリについては、これを根玉に、数回つなぎ売りを繰り返したあと売却、現在は保有していません。そしてこれは最も大きな変化ですが、海運株については買い玉をゼロとしたうえで川崎汽船を空売り、現在も売り玉を保有しています。つまり海運株に対するポジションが、180度、方向転換しているということです。

また前回の当ブログで「再度空売りの試し玉を入れています」とした6857アドバンテストは、空売りの本玉を建てています。以上、海運株と半導体関連株については、後述します。

日本株の相場観については、長期的には基本、これまでと変化なしです。前回のブログで、「目先は大きく下落したグロース株が、一時的に戻り相場を至現すると考えます」書きましたが、その展開は先送りになったと考えます。

米国では インフレ懸念の加速、それに対するFRBによる0.75%の利上げが株式市場にネガティブに影響し、株式市場が引き続き軟調な展開。一方で日本株については、 米国株の下落に引きずられている点はありますが、景気敏感バリュー株を中心に、相対的に堅調な動きです。この展開は、今後も続くと考えます。素材株を中心とした市況関連株が一部、弱い動きとなっているようですが、これは期間限定的な動きと考えます。したがって、ここで書いている景気敏感バリュー株が継続して上昇するシナリオは、中長期的には当てはまると思われ、運用スタンスは基本、これまでと変化なしです。
一方で、半導体製造装置株と海運株が下落を開始しましたので、これについては順張り対応、空売りしているということです。

次に8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取りについて。 グラフをご覧ください。



8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取り1
8801三井不動産買いと8802三菱地所売り(5月20日)

8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取り2
8801三井不動産買いと8802三菱地所売り(6月3日)

8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取り3
8801三井不動産買いと8802三菱地所売り(6月17日)


8801三井不動産と8802三菱地所の比較チャート。上が直近株価5月20日時点、中がその2週間後、6月3日時点、その下がさらに2週間後、6月17日時点の両銘柄の過去三ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。

前回と同様、ここ2週間で目立ったさやの動きは発生していません。従い、両銘柄については、現状は引き続き「待ち」、次の仕掛けのタイミングを待つところと考えます。

一方で、日本郵船買い・川崎汽船売りのさや取りについて。



三井不動産1
9101日本郵船と9107川崎汽船(6月3日)

三井不動産2
9101日本郵船と9107川崎汽船(6月17日)



9101日本郵船と9107川崎汽船の比較チャート。上が直近株価6月3日時点、下がその2週間後、6月17日時点の両銘柄の過去三ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。

前回の当ブログで私は、「両銘柄のさやは拡大し、川崎汽船と日本郵船との間で株価逆転が発生している。ここは日本郵船買い・川崎汽船売りのさや取りポジションを増し玉して良い状況と考えており、実際私は、そうしている」と書きました。

その2週間後、両銘柄のさやは、見事に縮小しましたね。6月3日時点の両銘柄のさやは、-180円(株価は郵船が10,840円、川船が10,980円)であったのに対し、6月17日時点ではこのさやが790円(同郵船が9,320円、川船が8,530円)。私は6月17日大引けで両銘柄を手仕舞い、利食いをしました。成功事例と言えます。

このさや取りはまだ継続しても良いようにも思われたのですが、海運株についてはポジションを空売りに転じましたので、一旦は頭を冷やすといいますか、整理しておきたいと考え、手仕舞いした次第です。両銘柄のさやについては引き続き注視、タイミングを見て再度、仕掛けを検討をしたいと思います。

さて、今回のテーマ、「やはり・・・海運株と半導体関連株は、下落に転じたのか?」について考えていきたいと思います。


日本郵船

日本郵船



お示ししているのは、日本郵船の過去一年の週足。上が直近株価6月3日時点、下がその2週間後、6月17日時点のものです。前回の当ブログのメインシナリオとは逆の展開、株価は一転して下落、前述しましたが、私は川崎汽船を空売りしています。その理由ですが、前回の当ブログのリスクシナリオ、高止まりしているコンテナ市況が早めに下落してしまう状況が現実化しつつあり、それを受けて海運株が下落を開始したと考えたからです。



日本郵船


これは Freightos Baltic Index https://fbx.freightos.com/ に掲載されている、週次のコンテナ船運賃の推移。天井打ちしているように思われます。背景には新型コロナに伴い発生した、人の動きが減って物の動きが加速した状況。これが徐々に、正常化しつつあることがあると思われます。 今後の株価はどうなるか? 私は当面、株価は不安定な中で下落基調を続けるも、9月の中間配当権利落ちにかけ、いずれかのタイミングで株価はやや復活。それ以降、再度下落に転じる展開を考えています。

コンテナ船市況は、基本的には、天井を打っていると考えますが、海運株の動きは当面、一筋縄ではいかない。不安定になる可能性があります。その理由の一つとして、足元の海運株の株価の特性があります。海運株の株価は、株式市場の動きと逆相関となる日も多いのです。

ここのところ、日経平均が上昇する日があると、市場はこんなムードになります。「まっとうな銘柄が上昇している中、すでに株価が十倍になった高値圏にある海運株に手を出す必要はない」ということで、こういう日はマイナスになる事が多い。一方で、全体株価が下がった時は。「まっとうな銘柄は下落しているが、そういう時こそ、高配当利回りである海運株を物色しよう」というムードが高まる。これが、日々の日経平均と海運株の動きが逆相関になりやすい理由です。それに加えて、9月にかけての配当権利落ちがある。

これは前回のブログでも書いていますが、9月に中間配の権利落ちがあります。高配当利回り銘柄は概して、「配当取りをしたい」と考える投資家の買いが集中することにより、権利最終日にかけ大きく上昇する傾向があります。海運株については、株価は当面軟調に推移すると考えますが。どこかでこの、中間期の配当取りの動きが出てくる。 その場合には9月の配当権利落ちにかけ、堅調に推移する可能性もあります。
しかしながら権利落ち以降は、株価は素直な動きになる。コンテナ船運賃は年後半から下落に転じると予測しているアナリストも多いわけですし、9月以降、これは表現が適当かどうか自信がありませんが、海運株の株価は、素直に下落していくんじゃないか。そう考えます。

従って、海運株については9月頃にかけ、空売りを中心に、売ったり買ったりを続けていくことになる。なぜ川崎汽船を売っているかと言うと、それはさやとりのところでも書きましたが。この銘柄が日本郵船比較で割高と考えたからです。

また話は前後しますが、私のポジションの変化については、もう一つ、日々更新しているブログ「浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用」
https://hamaguchitokyo.com/ で紹介しています。以下、2つですね。ご訪問ください。


6日9日付け【緊急】海運株天井打ちの可能性

6日11日付け【続報】海運株、やはり天井打ちか・・・


次に半導体製造装置関連銘柄6857アドバンテストについて。 まずは下のチャート、日足をご覧ください。ついに株価が下に離れてきた印象です。このことに違和感はありません。これまで私が、このブログで書いてきた通り。アメリカの金利上昇に伴い、グロース株は苦しくなる。そんな中で株価が高止まりしている半導体製造装置関連株は、どこかで下落に転じるんじゃないか?そのタイミングがついにやってきたと考え、売り建てをしています。


アドバンテスト


以下、アドバンテストの過去10年、過去30年の月足です。2000年のITバブル崩壊の時のようにまで発展するのか。わからないが・・・この点については、当ブログ、第27回 海運株と半導体製造装置関連株は、下落相場になるのか?
4月18日の記事も参考にしてください。


アドバンテスト

アドバンテスト



アドバンテストの株価形成については、以下のHPに掲載されているSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)チャートの動きが参考になります。以下は、当HPによる、この指数の説明です。

SOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)とは、半導体の製造・流通・販売を手掛ける企業(インテル、AMD、クアルコムなど30銘柄)の株式で構成される単純平均株価指数で、アメリカのフィラデルフィア証券取引所が算出・公表しています。

1993年12月1日を基準値100(当初200だったが1995年に1/2に分割された。)として算出され、半導体関連の代表的な指数とされており、日本の半導体関連株にも大きな影響を与える指数です。


SOX指数 週足


このSOX指数週足を見ると。 ほぼアドバンテストの株価とリンクしているように思われます。 そしてこの指数の動きは、下落トレンドにあると考えます。それが私が、アドバンテストの売り建てを継続させている理由の一つです。

なおご参考まで。アドバンテストについても、私のポジションの変化について。もう一つ日々更新しているブログ「浜口準之助のテツ・ホテル・グルメ・株式運用」
https://hamaguchitokyo.com/
で、紹介しています。以下、2つですね。




以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。

なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。


海運株は今年も9月に向け上昇するのか

06月06日
浜口です。まずは今回も2週間ごとの定点観測を。前回の当ブログのアップ日(2022年5月23日)以降の「浜口流コア・サテライト戦略」銘柄について、上は株価が5月20日時点、下はその2週間後、株価が6月3日時点のデータです。この二週間を「断面」で見た場合、総じていえば。株式市場全体の上昇に伴い、個別銘柄の株価も上昇、特に海運株3社の上昇が際立ちます。 また川崎汽船の株価が日本郵船の株価を上回る、株価逆転現象が起こっている点が注目されます。この点は後述します。


コア・サテライト戦略 株式銘柄群


コア・サテライト戦略 株式銘柄群



この状況において、ここ2週間で私が行った売買は。前回のブログでも書きました、「日本郵船買い・川崎汽船売り」のさや取りについて、増し玉をしています。またこの表にはありませんが、4385メルカリを。同銘柄の株価が暴落する一方で、メルカリはプライム市場に格上げされ、それに伴い株価が底打ちしたと判断された。これも後述しますが、このタイミングでグロース系の銘柄を少しは持っていてもいいかなとも思い、新規購入しています。加えてこれを根玉にして、つなぎ売りを繰り返しています。

一方で前回の当ブログで「株価が思うように下落しないため、売り建てをすべて手仕舞いました」とした6857アドバンテストは、再度空売りの試し玉を入れています。

以下、アドバンテストの日足チャート。上が直近株価5月6日時点、中がその2週間後、5月20日時点、その下がさらに2週間後、6月3日時点の日足チャートです。



アドバンテスト1
アドバンテスト(5月6日)

アドバンテスト2
アドバンテスト(5月20日)

アドバンテスト3
アドバンテスト(6月3日)


日本株の相場観については、長期的には基本、これまでと変化なしなのですが、目先は大きく下落したグロース株が、一時的に戻り相場を至現すると考えます。

米国ではNYダウ・S&P500はここもと、90年ぶりに8週間連続下落する等、とても軟調な動き。国内のグロース株もそれに引きづられる展開となっています。しかしながらこの米国株式の下落はさすがに行き過ぎと思われ、相応の反動高が期待されます。つれて国内のグロース株も米国同様、ある程度の戻り相場が期待できるものと考えます。当面は、係るグロース株の戻りと、これまでの景気敏感バリュー株の上昇がともに発生する相場展開を想定しています。

次に8801三井不動産買いと8802三菱地所売りのさや取りについて。 グラフをご覧ください。


三井不動産1
8801三井不動産と8802三菱地所(5月6日)

三井不動産2
8801三井不動産と8802三菱地所(5月20日)

三井不動産3
8801三井不動産と8802三菱地所(6月3日)



8801三井不動産と8802三菱地所の比較チャート。上が直近株価5月6日時点、中がその2週間後、5月20日時点、その下がさらに2週間後、6月3日時点の両銘柄の過去三ヶ月の比較チャート・相対株価を示したものです。

今回も前回と同様、ここ2週間で目立ったさやの動きは発生していません。従い、両銘柄については、現状は引き続き「待ち」、次の仕掛けのタイミングを待つところと考えます。

一方で、日本郵船買い・川崎汽船売りのさや取りについて、冒頭でも書きました通り、両銘柄のさやはさらに拡大し、川崎汽船と日本郵船との間で株価逆転が発生しています。


日本郵船

日本郵船


両銘柄のさやの拡大の背景については、前回の当ブログで解説していますので、そちらをご覧ください。ここは日本郵船買いー川崎汽船売りのさや取りポジションを増し玉して良い状況と考えており、実際私は、そうしています。

さや取りを行う建玉株数は、日本郵船1,000株買いに対し、川崎汽船売り1,000株と、同株数で良いと思います。

さて、今回のテーマ、「海運株は今年も9月に向け上昇するのか?」について考えていきたいと思います。



日本郵船


お示ししているのは、日本郵船の過去一年の週足です。今後の海運株については、昨年9月にかけてと同様の展開を想定しています。チャートの中で赤丸で囲っている部分ですが、 9月後半にかけて上昇し、どこかで天井打ちするイメージです。

そう考える背景は、三つあります。一つには足元でコンテナ市況が高止まりしている一方、海運大手三社の今期業績見通しが減益であることから。この業績見通しはおそらくは保守的に過ぎ、早晩、上方修正されると思われること。加えて、9月に中間配の権利落ちがありますが。高配当利回り銘柄は概して、「配当取りをしたい」と考える投資家の買いが集中することにより、権利最終日にかけ大きく上昇する傾向があること。以上に加えもう一つは、ここに来て海運株の人気が、「ブーム」と言えるほど高まっていて、新たな投資家の買いが期待できること。こう言っては失礼ですが、 この手の投資家は概して初心者が多く、彼らは高配当であることを素直に評価し、9月に向け海運株を買ってくるのではないか。そう考えます。

私は銀座にある投資家バーによく行くのですが、ここに来ると、「なるほどな・・・」と思わされることがよくある。一年前に私がここで、「日本郵船は買いだよね」と申し上げると、「それは日本郵政ですか?」との声が、複数から聞こえてきた。 当時は海運株は、不人気銘柄だったわけですね。ところが今はそんなことはない。海運株はすっかり、人気銘柄になってしまった。投資家バーで飲んでいても、バーの中、いろんなところで、日本郵船について話している声が聞こえて来る、そんな状況です。以上三つの点から、海運株は今年も9月に向け上昇する、そんな展開を想定しています。

このシナリオのリスクは何か?やはり今後のコンテナ市況ですね。高止まりしているコンテナ市況が早めに下落してしまうとなると、このシナリオは頓挫することになる。どうなるか・・・と、ここまでですね。 海運株投資家には、Good Luck!というところですね。

以上です。今回はこの辺で。みなさんの株式運用の参考になれば幸いです。

なお皆さんの株式運用は、くれぐれも自己責任でお願いします。ここは再強調させていただきます。


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