足立武志
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公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェカー取締役 1975年生まれ 神奈川県出身
一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活
動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情
報の提供に努めている。主な著書に、『知識ゼロからの経営分析入門』(幻冬舎)ほか多数
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足立武志の「中長期投資家のための“超・実践的”ヒント集」
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経営破たんしたのに上場維持?-プロパスト 05月18日
先日、マンション分譲のプロパスト(3236)が民事再生手続開始の申立てをおこない、経営破たんしました。通常なら、これを受けて上場廃止となるところですが、プロパストは民事再生手続開始申立てをしたにもかかわらず、上場を維持する方向のようです。
通常は、経営破たんした企業の株式は上場廃止となった後100%減資などにより無価値になりますが、プロパストの公表資料によれば、今後の新株発行により株式希薄化による株主責任は生じるものの、100%減資は行わないとのことです。
経営破たんしたにもかかわらず100%減資により株主責任を問うことをしなければ、「モラルハザードだ」という声も聞こえてきそうですが、身銭を切って株式投資をしている個人投資家からすれば、経営破たんした株式が無価値にならずそのまま持ち続けることができるとなれば喜ばしいことですし、上場廃止とならないのであればなおさらです。
なお、プロパストが今後上場を維持するためにはいくつかの要件がありますが、その1つとして、5月15日からの1ヶ月間の平均時価総額が5億円以上、もしくは1ヶ月後の当日の時価総額が5億円以上であることが求められます。
5億円を発行済み株式総数346,925株で割ると、1ヶ月間の平均株価ないし1ヶ月後の株価がおよそ1442円以上であることが必要と試算されます。(正確な数値は会社側やジャスダックなどに確認してください。)
プロパスト株式は民事再生手続開始申立て当日の5月14日には980円まで値下がりしたものの、5月17日、18日には連続ストップ高で株価は1430円にまで戻しています。これは、上場維持、そしてその後の経営再建による株価上昇への期待感の表れといえるでしょう。
今回のプロパストのケースは、経営破たん企業が上場を維持しつつ経営再建を進めることが可能かどうかの試金石となりそうです。今回のケースがうまくいけば、今後も同様のケースがいくつも出てくるかもしれません。今後の推移を注意深く見守っていきたいと思います。
(参考)プロパストの公表資料(プロパスト ホームページより)
http://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?cat=tdnet&sid=799091
http://eir.eol.co.jp/EIR/View.aspx?cat=tdnet&sid=799092
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