足立武志
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公認会計士、税理士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)
株式会社マーケットチェカー取締役 1975年生まれ 神奈川県出身
一橋大学商学部経営学科卒業。資産運用に精通した公認会計士として、執筆活
動、セミナー講師等を通じ、個人投資家が資産運用で成功するために必要な知識や情
報の提供に努めている。主な著書に、『知識ゼロからの経営分析入門』(幻冬舎)ほか多数
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足立武志の「中長期投資家のための“超・実践的”ヒント集」
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「連想力」を働かせよう 10月31日
本日(10月30日)の後場から、大和ハウス、積水ハウスなどの住宅メーカー、長谷工コーポレーションや大京などマンション関連株、そしてゼネコンや不動産株などが急上昇をしました。理由は、「国土交通省が、改正建築基準法施行規則を改正し、審査態勢を一部緩和する方針を明らかにした」との一部報道によるものです。
しかし、急上昇したのはこうした業種だけではなく、住生活グループやリンナイといった住宅関連設備を取り扱う企業や、住友大阪セメント、太平洋セメントといったセメント会社も大幅な株価上昇となりました。
つまり、審査態勢緩和により住宅着工が伸びるということは、住宅メーカーやマンション建設業、ゼネコン、不動産業だけでなく、住宅建材や住宅設備を販売する会社にとっても大きなプラスになるのです。
個人的には、クリナップ、タカラスタンダード、サンウェーブといったキッチン関連の企業も恩恵を受けると思うのですが、株価はあまり大きくは上昇しませんでした。しかし、いずれの銘柄も、住宅メーカーやゼネコン、不動産株が大きく上昇するのとほぼ同じ時間に上昇していますから、おそらく「連想買い」をした投資家はいたはずです。
「連想買い」を実践できれば、仮に「ど真ん中」の企業(今回のケースでは大和ハウス、積水ハウス、長谷工、大京など)の株価が大きく上昇してしまっていても、関連する銘柄を連想していけば、まだ株価があまり上昇していない段階で先回り買いすることができるのです。
「住宅関連」とか「半導体関連」、「防衛関連」などというように、あるテーマに関連する企業を頭に入れておき、何かニュースが飛び込んできたときに「連想買い」(場合によっては「連想売り」)を他の投資家に先んじて実行できるようにしておけば、大きなアドバンテージとなることでしょう。
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中長期投資でも「デイトレード」せざるを得ないときもある 10月25日
中長期投資といえば、ある程度の期間、株式等を持ち続けて、最終的には売却して利益を得ることを目的とします。しかし、株式を持ち続ければ必ず利益が得られるほど株式投資は甘くありません。
株を買ったはよいが、ズルズルと下がってしまった、という経験は、株式投資をしている方であれば誰もがお持ちでしょう。そんな時は、「損切り」が必要不可欠なのです。
マネー雑誌などで、よく長期投資を推奨する記事があります。「短期的に下落しても、長期的に保有すれば株価は上昇する」などと無責任なことが書いてありますが、長く持ち続ければ、買った値段より上昇する保証などどこにもありません。それどころか、バブル期に高値で買った株のように、20年もの間持ち続けても、株価が買値をはるかに下回る状態が続いて困っている個人投資家が大勢いるのです。
損切りは、損失が大きくなる前に、小さな損失で抑えて、自分の財産の目減りを最小限に防ぐための、大切な手段なのです。ですから、例えばある株を朝一で買ったものの、午前中の間に株価が下がり、事前に設定した損切り価格を割り込めば、午後一番で売却するという「デイトレード」も、時には必要となります。
中には、「損切りが重要、なんて飽きるほど聞いているから分かってるよ」という人も多いでしょうが、分かっていてもできないのが損切りなのです。しかし、株式投資で長年勝ち続けている人は必ずといってよいほど損切りをしています。株式投資で成果を出したいのであれば、損切りは避けては通れないのだ、ということを理解してください。
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FX取引を甘くみると痛い目にあう 10月21日
ここ数日で急速に円高が進んでいます。今年8月と同様、今回も株安と円高が同時進行しそうな雰囲気です。
さて、8月の円高局面でひやりとした方も多いであろうFX取引。最近、対米ドルでも1ドル=117円台の水準まで戻してきたこともあって、相変わらず根強い人気を保っているようです。
しかし、「FX取引=簡単に儲かる」と思っているならば、その考えは早急に改めた方がよいでしょう。
確かに、対米ドルではそれほど円安になってはいないにしろ、例えば対ユーロでみれば、2000年の1ユーロ=90円割れから、今年の1ユーロ=約170円まで、大きな調整もほとんどなく、円安・ユーロ高が続きました。さらに、ユーロ買いのポジションを持っていれば、スワップ・ポイント(金利相当額)ももらえます。この間にFX取引で大きな利益を上げた人も多いことでしょう。
でも、そのような、「長期安定的に為替が円安に推移する状況」がいつまでも続くことはありません。特に、ここ数年間は、為替相場の変動がゆるやかでしたので、多くの投資家が為替変動の怖さを忘れてしまっているようです。ところが、過去にさかのぼれば、もっと大きな円安・円高の波が何度も発生しているのです。現に、1998年のロシア危機のときは、1週間でドル・円相場が20円も円高になったこともあります。
為替の動きは、プロであっても正確に予測するのは不可能といわれています。FX取引を甘く見ていると、必ず足元をすくわれることになります。特に、スワップ・ポイント目当てで外貨を長期保有する場合は、レバレッジはせいぜい3倍くらいにすべきでしょう。レバレッジ10倍だと、ドル・円で考えればドル購入時より12円円高になれば証拠金がゼロになります。この程度の円高は頻繁に起こりえますからレバレッジ10倍での長期保有は非常にリスクが高いといわざるを得ません。
「FX取引で外貨買いをすれば、ローリスクで高い金利収入を確実に得られる」と思っている個人投資家は多いです。それは為替リスクを軽視した、非常に危険な考え方です。ひとたび急激な円高になれば、金利収入どころか証拠金まで簡単に吹き飛んでしまうことは肝に銘じておいてください。
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やはり「うまい話」はない 10月09日
先日、インターネットのニュースで、ある健康食品販売会社が、会員5万人から集めた資金に対する配当の支払を中止しているという記事を見ました。過去の類似したケースから、おそらく会員の方が出資した金額のうち、かなりの額が返還されない可能性が高いでしょう。
私も、この会社のことは以前から知っており、実際にパーティーの様子や代表者の話を映したDVDを見たりもしましたが、やはり「胡散臭い」という印象は否めませんでした。
どうして同じような事件が何度も発生し、多くの人たちがひっかかってしまうのか不思議でたまりませんが、きっと有名人を招いた豪華なパーティーや、代表者の巧みな話術などによって、「これなら大丈夫」と信じてしまうのでしょう。そして、驚くことに、株式投資や資産運用など全くしたことのなかった人が、退職金を全てつぎ込んだりしてしまうのです。
資産運用の世界にも、一時期の未公開株勧誘のように、詐欺まがいの投資話は多く転がっています。そうした罠に引っかからないためには、まずは「うまい話はまず疑え」ということが鉄則です。
一見怪しそうな話でも、勧誘する側の説明を聞いていくうちに、「これなら大丈夫かも」と思ってしまうようです。しかし、その人の説明は本当に正しいのか?何かリスクとなる要因はないのか?と今一度自分自身で考えてみましょう。そして、「それでも大丈夫」と思ったとしても、全財産を投じるなどということは、失敗したときのダメージが大きすぎるので避けるべきです。
やっぱり「うまい話」はそうそう世の中に転がっているものではありません。話を信じる前に、自分の頭で冷静になって考えてみることが、大切な財産を守ることにつながります。
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株価2ケタ銘柄が増えてきた 10月03日
2007年の日本の株式市場は、日経平均株価やTOPIXなどの指数こそ10%弱の下落にとどまっているものの、個別の銘柄に目を向けると、指数が堅調とは思えないほど大きく下落しています。たった数ヶ月で株価が半分になった銘柄も数知れません。
そんな中最近目だって来たのが株価2ケタの銘柄です。このことは、「信用不安」が高まりつつあることを意味しています。つまり、株式市場では企業の「信用リスク」「倒産リスク」が株価に織り込まれつつあるのです。
こんな現状をみて思い出すのが、2002年11月の日本マーケットです。このときも、信用不安が高まっており「こんな銘柄までも」とびっくりするくらい、株価2ケタ銘柄が続出しました。
しかし、その後信用不安が解消されると、そうした「株価100円割れ銘柄」は、安値から何倍にも上昇し、中には大平洋金属のように、100倍にまでなったものさえあります。
ですから、仮に今後信用不安が増幅し、株価2ケタ銘柄が急増すれば、2002年11月の時のような買いのチャンスとなる可能性が高いのです。
ただし、どこまで下げた後に上昇に転じるかは分かりませんので、下げている途中は買わないことを心がけるべきです。そしてできるだけ倒産の危険性の少ないものを選ぶこと(借金が多かったり、赤字であるものは避けるなど)、なるべく多くの銘柄に分散すること(そうすれば何社かが倒産してしまっても、残りでカバーできる可能性が高い)に注意してください。
まさに「ピンチの後にはチャンスあり」、です。
(実際に投資するにあたっては自己責任にてお願いいたします。)
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