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ウィザードブックシリーズ Vol.001

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エルダー博士のトレードすべきか、せざるべきか――トレードの基礎と売買手法とリスク管理 電子書籍
『エルダー博士のトレードすべきか、せざるべきか
トレードの基礎と売買手法とリスク管理

2015年11月発売/電子書籍版 (書籍換算:A5判 94頁)
ISBN978-4-7759-7197-0 C2033
定価 1,200円+税

著 者 アレキサンダー・エルダー
監修者 長尾慎太郎
訳 者 井田京子


電子書籍は各ウェブ書店様でお求めいただけます。
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簡易コンパクト版の『投資苑』

 世界的なロングセラー『投資苑』の著者エルダー博士が、初心者のために、またトレードを一から勉強し直したい人のために、『投資苑』を最重要なエッセンスだけを抜き出してまとめた電子版の『投資苑』です。

 トレードでの心構え、心理、売買手法、資金管理、情報、参考文献など、いつも心にとどめておきたいこと、心にとどめておきべきものがコンパクトにまとまっています。

 電子ブックなのでいつでもどこでもすぐに、それらが確認できます。

*本書は、『投資苑』を読んで完全にマスターされている方や紙の本をすでにお持ちの方には必要ないものです。



著者紹介

アレキサンダー・エルダー博士(Dr. Alexander Elder)

プロのトレーダー、トレード講師、心理学者。elder.comとSpileTrade.comを創設し、世界中のトレーダーに教育サービスを提供。著書に『投資苑』『投資苑2』『投資苑3』『利食いと損切りのテクニック』(いずれもパンローリング刊)があり、各国語に翻訳され、投資書籍の金字塔として世界中のトレーダーたちから支持を得ている。東日本大震災の義援金として、パンローリング社と直接契約の版権から発生した前年分の印税を全額、日本赤十字社に寄託した。


エルダー博士のダイバージェンストレード

利食いと損切りのテクニック

投資苑

投資苑2

投資苑3

DVD トレード成功への3つのM


目次

(本テキストは再校時のものです)

アレキサンダー・エルダー博士の著作

第1章 トレードすべきか、せざるべきか――初心者のためのガイドブック【第3版】(立ち読みページ)

本書の構成
無料アップデートと倫理規定
 本書をコピーしないでほしい トレードすべきか、せざるべきか
トレードで生活できるのか
 一言で言えば、「トレードとは楽に稼ぐのが最も難しいもの」
 トレードを学ぶのにはどれくらい時間がかかるのか
 どれくらいの利益が期待できるのか
だれでもトレーダーとして成功できるのか
 トレードをフルタイムですべきか、それともパートタイムですべきか
トレードで成功するための3つのM

第2章 心理――初心者のためのトレード心理学

成功するためには何が必要か
 一言で言えば、「時間とお金と熱心さが必要」
トレードすべきではない人
 一言で言えば、「頑固で自立していない人は成功するのが難しいし、ほかにもいくつか警戒すべき性格がある」
錯覚ではない
 一言で言えば、「現実的なトレーダーだけが利益を上げることができる」 トレーディングの適性検査
トレード心理に関する資料

第3章 売買手法――初心者のためのトレードルール

マーケットを分析する2つの方法
 一言で言えば、「ファンダメンタルズアナリストは経済的な要素を分析し、テクニカルアナリストはマーケットチャートを分析する」
 ファンダメンタルズアナリストに向けたメッセージ
価格と価値の間のギャップを意識する
 一言で言えば、「チャートを読むことは群衆の行動を読むこと」
生データとデイトレード
 一言で言えば、「初心者にライブデータは必要ないし、むしろ害になる」
買うか、空売りするか、サヤ取りをするか
 一言で言えば、「価格が上昇しても下落しても横ばいでも利益を上げることができる」
どの銘柄をトレードするか
 一言で言えば、「少数の銘柄を選んでそれを定期的に観察する」
先物、オプション、FX
 一言で言えば、「株以外のトレードには追加的なリスクがある」
複数の時間枠を使う
 一言で言えば、「2つのチャートを使え、長期チャートは戦略用、短期チャートはトレード判断用」
裁量トレードとシステムトレード
 一言で言えば、「システムトレーダーはバックテストを行ったルールに従い、裁量トレーダーは自分の判断に従う」
注文を出す
 一言で言えば、「成り行き注文は執行が保証され、指値注文は価格が保証される」
利益目標
 一言で言えば、「買う前に、長期トレードか短期トレードか、そして目標値を決めておく」
損切りの逆指値
 一言で言えば、「綱渡りに転落防止ネットが必要なように、トレードには損切りの逆指値がいる」

第4章 初心者のための資金管理

すべてのトレードに不可欠な3つの数字
 一言で言えば、「すべてのトレードについて、仕掛けと目標値と損切りの価格を書き出しておく」
2%ルール――すべてのトレードのリスクコントロール
 一言で言えば、「1つのトレードで資産の2%を超えるリスクをとってはならない」
6%ルール――資金を守る
 一言で言えば、「もしトレード口座の残高が月初よりも6%下がったら、その月はもうそれ以上トレードしない」
トレードサイズ――リスク管理の鉄のトライアングル
 一言で言えば、「スリッページの余地を残して2%ルールでトレードサイズを決める」
初心者にとって適当な資金量は
 一言で言えば、「トレードを学ぶのに適当な資金は2〜5万ドル」

第5章 実際にトレードを始めるときに必要な情報

つもり売買
 一言で言えば、「つもり売買でスキルを磨くことはできるが、実際のトレードとはまったく違う」
記録を付ける
 一言で言えば、「記録の質が高ければ、トレード結果も良くなる」
税金
自分のエッジは何か
 一言で言えば、「マーケットにおける自分の強みを必ず知っておく」
ブローカー会社でトレード口座を開設する
 一言で言えば、「大手は同じようなサービスを提供しているが、初心者は信用取引口座は作ってはならない」
勉強を続けるために――本、ソフトウェアほか
 一言で言えば、「知識を得て、スキルを伸ばし、多くの練習する」

ソフトウェア
さらに成長するために

謝辞
参考文献
公表していない手数料

エルダー博士からの一言メッセージのまとめ(編集部)

■第1章 トレードすべきか、せざるべきか――初心者のためのガイドブック【第3版】

 マーケットは、富と自由をほのめかして私たちを魅惑する。しかし、新参者は新たな分野に足を踏み入れた興奮で、難しい挑戦に向けた準備を整えるのを忘れてしまう。そのため、経験が浅いトレーダーは深刻なミスを重ね、損失をふくらませていく。

 以前、ニュージーランドでスキーをしていたとき、山頂近くで日本人旅行者のグループに遭遇した。彼らは現地に到着してから最高のスキー用具を購入し、リフトで山頂までたどり着いた。しかし、スキーの講習を受けていなかったため、滑り降りることができず、みんなで震えていたのだ。その日の夜、一緒に飲んだスキー場の医師が日本人旅行者のケガの手当てをしたということだった。

 そこで、あなたには正しく準備して、安全で賢いトレードをしてほしい。ただし、なかにはけっしてトレードをすべきでない人もいる。そういう人は、本書を読むことでそれに気づき、問題を避ける助けになればと思う。これまで上級トレーダーのために数冊のベストセラーを執筆してきたが、初心者向けの本も書くべきだと感じ、執筆を始めた。

 本書の構成

 本書は1つの章が短く、その章のなかの項目は最初の「一言で言えば」の1行で分かるようになっている。追加的な情報源を紹介している章もある。

 最初に、「だれでもトレーダーとして成功できるのか」「成功するためには何が必要か」などといった基本的な質問について述べていく。もしこれらの章を読んでやる気が高まれば、さらに読み進めてほしい。学ぶべきことはたくさんある。反対に、冒頭部分を読んで自分はトレーダーには向かない(少なくとも今の時点では)と思う人もいるだろう。それも、イライラや損失を避けるための良い判断だと思ってほしい。

 トレードの成功は、3つのM――マインド(心理)、メソッド(作戦)、マネー(リスク管理)――のうえに成り立っている。これらについては個別に詳しく説明する。そして最後に、記録方法、ブローカーの探し方、さらに学ぶ方法など、実践的な課題について書いておく。この本はあなたの最初のトレード本かもしれないが、これで終わりではけっしてない。

 ちなみに、この本は具体的な手法を教えるための手引書ではない。ここで紹介するのは、どの手法にも応用できるトレードに不可欠な基本ルールなのである。ただ、説明の過程であなたに適した手法を探すための提案もいくつかしていく。

 無料アップデートと倫理規定

 将来のアップデートについては、本書を購入したすべての人に無料で提供することを予定している。本書をElder.comから購入した場合は、アップデートを自動的に配信する。それ以外で購入した人は、[email protected] に連絡すれば将来のアップデートリストに追加される。読者のメールアドレスは、厳重に管理されている。

 本書を友人に転送するのはやめてほしい(著作権侵害になる)。それよりも、友人に http://www.elder.com/product/detail/E001/ を伝えることで、ぜひ最新版を入手してもらってほしい(この件はパンローリングは対応していませんので、上記まで連絡・登録してください)。

 本書をコピーしないでほしい

 本書を出版するまでには数百時間の労力がかかっている。読者は不正コピーをせずに、友人には上のリンクを伝えてくれるものと信じている。この信頼を裏切らないでほしい。

 それでは本題に入ろう。

 トレードすべきか、せざるべきか

 トレーディングは、地球上で最もわくわくするもののひとつだ。トレーダーとして成功すれば、世界中好きなところに住んで仕事をすることができ、決まりきった日常に縛られず、だれの指示も受けなくてすむ。ただ、魅力のほうは分かりやすい反面、トレードがどれほどの努力と規律を要することかを分かっている初心者はあまりいない。

 学校で一生懸命勉強し、仕事で実績を上げ、多少の蓄えができると、ウォール街が手招きしてくる。みんなが金儲けをしていると聞けば、「自分だってできるのではないか」と思うだろう。貯金をマーケットに投じて、瞬く間に倍増させ、同じことを繰り返す生活から抜け出そうと思うのだ。

 しかし、トレード口座を開設する前に、主なメリットとデメリットを知っておいてほしい。

 トレードで生活できるのか

 一言で言えば、「トレードとは楽に稼ぐのが最も難しいもの」

 これは、数年間のトレード経験がある私の生徒が言った言葉だ。トレードを学ぶには時間とエネルギーと規律と資金がいる。トレードは魅惑的な分野で、大金を稼ぐこともできる。素晴らしい生活を手に入れることだって可能だが、成功するためには懸命に努力する必要がある。

 ほかのどの分野についても言えることだが、まずはたくさんの知識を身に着け、いくつものスキルを磨かなければならない。成功するためには時間と集中と献身的な努力が必要となる。もしトレードが簡単にできるならば、みんなが儲かっているはずだが、実際にはそうなっていない。成功するのは少数のトレーダーだけで、ほとんどの人は損ばかりしているのだ。ちなみに、勝ち組の利益は負け組のポケットから出ているが、その過程でトレード業界もかなりの部分を吸い上げている。

 トレードを学ぶのにはどれくらい時間がかかるのか

 すぐに会得する人も、ゆっくり上達する人も、まったく上達しない人もいるが、平均的な人ならば期間も費用も大学を卒業する程度だと思う。費用のかなりの部分は、初期の損失に費やされる。本書執筆の目的のひとつは、この大きな初期の損失を減らすことにある。リスクを制限することについては、第4章の資金管理の章で述べる。

 トレードを学ぶためには、大学の学位を修得するのと同じくらい集中して取り組む必要がある。初心者の多くはトレードを気軽にとらえて大金を失うことになる。あるとき、友人のコリン(オーストラリア人のプロのトレーダー)がかかりつけの歯科医に行った。診療台で横になり、金属製のツールで治療を受けている彼に、歯科医が最近BHP株(オーストラリアで最大の銘柄)が高騰したとき、どうしたかと聞いてきた。コリンは、「多少儲かったよ」と答えた。すると歯科医はWOWはどうだったか、とまた聞いた。コリンが「そちらも多少儲かった」と答えると、歯科医は興奮して、「なんで君はトレードで利益が上がるのに、私はいつも損ばかりしているんだ」と言った。コリンは口の中に器具が入ったまま、「たぶん…僕が…歯科医として…稼ぐことができないのと…同じ理由だと思う」と答えた。

 私はトレードが大好きだ。これは素晴らしい世界であり、あなたにもぜひがんばって勝ちをつかんでほしい。ただし、成功は可能であっても、棚ぼた式に成功が手に入るものではないし、たとえ成功が手に入ってもそれは長くは続かない。

 成功したときの喜びについて語るのは簡単だ。お金の心配をしなくてよくなり、世界を飛び回ることもできるし、他人に寛容になったり、大切に思えるようになったりするかもしれない。しかし、口座の残高を100万ドルにする確実な方法は、最初に200万ドル入れておくことだという点も覚えておいてほしい。トレードで簡単に1万ドルを手に入れる唯一の方法は、ダメなトレードに2万ドルを投じ、手仕舞ったあとの残りを確保することだとも言えるのである。トレードで大きな利益を上げることはもちろん可能だが、簡単にお金は稼ぐことはできないのである。

 トレードを学ぶ最善の方法は、小さいサイズでたくさんのトレードをすることで、そうすればイライラすることもない。そして、必ず正確な記録を残し、学習効果を高めるために日誌を付けてほしい。学ぶことが目的の場合、デイトレードはスピードが速すぎるが、長期投資では遅すぎる。その意味では、トレード期間が2〜3日から1〜2週間のスイングトレードが最も適しているだろう。

 どれくらいの利益が期待できるのか

 最近、スパイクトレード・ドット・コム(http://www.SpikeTrade.com、私が約10年以上前に開設したトレード仲間のためのサイト)に新たに加入したメンバーが、このグループのエリートトレーダーであるイリヤ・Zにメッセージを送った。この新人は、現在自分は失業中で、貯金の10万ドルを元手にトレードで生計を立てられるかどうかと相談したのである。イリヤは次のように返信した。

まず、失業中ということですが、元気を出してください。私も失業したことがありますが、最終的には自分の専門性を生かす仕事が見つかりました。あなたもそうなることを祈っています。 トレードで生計を立てることができるかどうかは、簡単な計算で分かります。トップクラスのトレーダーは年間約30%の利益を上げることができますが、これは良い年の話で、毎年とはいきません。あなたはトレードを始めたばかりということなので、30%などという利益は奇跡が起こらないかぎり無理でしょう。5〜10%か、それ以下でも利益が出れば良い結果と言えます。ちなみに、もし10万ドルの元手で30%の利益が上げられたとしても、年間収益は3万ドルで、そこから税金を支払うことになります。 実際のお金でトレードする前に、まずは次の厳しい質問に明確な答えを持っておかなければなりません。『いくらまでの損失ならば許容できるのか』です。 参考までに言うと、私はトレードで1つのポジションの価値が自己資金の10%を超えないという制限を決めています。そして、戦略を決めるためには週足チャート、日々の作戦は日足チャート、仕掛けには15分足と5分足チャート、手仕舞いには15分チャートを使っています。 幸運を祈ります。トレーダーの最初の目標は生き残ることだということを忘れずに」

 知識が豊富な人で、何千ドルかの資金を使って年間30%以上の利益を上げている人も確かにいるが、それはうまくいった年の話でしかない。だからこそ、安定的に年間30%の利益を上げているウォーレン・バフェットやジョージ・ソロスはマーケットの天才と呼ばれているのである。彼らは注意深く、長期的な見通しを持ってトレードしている。これは、多くの初心者がカジノでルーレットに賭けるようにトレードしているのとは大きく違っている。

 私は、著書の『投資苑2』(パンローリング)を執筆するときに、さまざまな段階にあるトレーダーのパフォーマンスを検証した。その結果、初心者が最低限許容できる年間パフォーマンスの水準は、トレード資金の10%の損失だということが分かった。

「この数字を見せると、トレーダーたちはショックを受けた。彼らは、ほとんどの初心者がすぐに破綻してしまうことを忘れているのだ。多くの初心者が、1カ月、もしくは1週間で10%の損失を出す。もし1年間生き延びてトレードを学び、損失を10%未満に抑えることができれば、それは安い授業料であり、みんなのはるか先を行っている」

 初心者は、利益でトレード費用を相殺したうえで、米国短期国債かそれに匹敵する無リスク商品の年間利率の1.5倍の利益率を上げることを目標としてほしい。ちなみに、これは中級や上級レベルのトレーダーの目標にもなり得る。

 トレードで成功する方法を学ぶためには長い時間がかかる。楽しいこともたくさんあるが、これは陸上競技に例えれば、スプリントではなくマラソンなのである。

 だれでもトレーダーとして成功できるのか

 耳の聞こえない人がオーケストラを指揮できるのだろうか。ベートーベンは聴力を失ったあとも胸で杖をピアノに押し付ける方法を会得して作曲を続けたが、これで作曲方法を学んだわけではない。目が見えない人が運転できるのだろうか。目が見えなくても人生を楽しむ方法はあるが、そのなかに運転は含まれていない。

 トレードには一定の不可欠な資質がある。そのなかには、時間、規律、学ぶ意欲などが含まれている。もちろん、それだけで成功が約束されているわけではないが、勝つ方法を学ぶチャンスは開ける。反対に、もし時間がない、規律を持っていない、学ぶ意欲がないなどという人は、トレードはやめておいたほうがよい。トレード心理の第2章では、頑固、自立していないなど、ほぼ間違いなくトレード損失につながる性格についても見ていく。

 トレードをフルタイムですべきか、それともパートタイムですべきか

 初心者のなかで、楽しみのためだけに十分な資金をトレードにつぎ込める人はほとんどいない。むしろ、ほとんどの人は本業が忙しくてなかなか時間が取れない。そこで、最初はパートタイムでトレードを始めるのが理にかなっている。パートタイムで始め、あとは進展を見て決めていけばよい。

 賢くて、経験もあり、人間的にも成熟した人ならば、毎日2〜3時間集中すれば、かなりの量を学ぶことができる。このときすべきいくつかの行動――読む、調べる、指標や株価を観察する、トレードを仕掛けて、それを管理する、正確な記録を付ける――については、本書後半で説明する。

 そして、パートタイムでも集中力を切らさずに本気でトレードをしていれば、1年以内に少しずつ良い結果が出てくるはずである。間違いを犯すこともあるだろうが、本書後半で説明する資金管理のルールを厳格に守っていれば、深刻な損失に至ることはない。

 仕事を持っていれば安定的な収入があるため、気持ちのプレッシャーが減ってよりよくトレードできる。私の周りにも、仕事を辞め、貯金を元手に1日中緊張状態で画面をにらんでいる人がいる。この方法でうまくいく人もいるが、ほとんどの人はそうはいかない。

 あとは、自分のトレード日誌と学習曲線がすべきことを教えてくれる。曲線のカーブを見ていれば、論理的な決断を下すタイミングはおのずと分かると思う。

 安定的に利益が損失を上回るようになれば、次にどうするかを決めることができる。収入を増やすためにパートタイムのトレードを続けるのもひとつの方法だ。あるいは、観察する銘柄数を増やしたり、対象を先物やオプションに広げたり、トレード頻度を増やしたりすることもできるが、それにはフルタイムでのトレードが必要になる。ただ、それを今決める必要はない。

 トレードで成功している人のなかにはパートタイムのトレーダーもたくさんいる。これは初心者にとって安全で、感情的になりにくい方法と言える。パートタイムを続けるか、いずれフルタイムに切り替えるかは、そのときの経験が教えてくれるだろう。

 トレードで成功するための3つのM

 初心者は、噂を聞いたり、画面で株価が上昇するのを見たりして、マーケットに飛び込んでしまう。このような画面に魅惑された初心者は、それしか目に入らなくなり、ほかのことが考えられなくなるのである。

 反対に、経験を積んだトレーダーは株価パターンや指標のシグナルを分析するだけでは勝てないことを知っている。勝つためのもうひとつの要素はトレード心理で、精神力は成功のカギとなる。そしてもうひとつ、資金管理も絶対に不可欠なスキルだが、多くの初心者はこれをまったく無視してあとで大きなツケを払うことになる。

 心理(マインド)と売買手法(メソッド)と資金管理(マネー)は、トレードで成功するための不可欠な要素である。本書では、それぞれに章を割いて説明していく。最初に心理について説明し、手法(トレードツール)、資金管理(リスク管理)と進んでいく。


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