短期トレーディングの手法 第6回

―TD TRAP、TD CLOPの検証―

 

中原 駿

 

TD TRAP、TD CLOPの検証を今回はおこなっていく。条件はTD OPENの時と全く同じである。

 

日経平均(現物)

TD TRAP

TD CLOP

総損益

91,885

総損益

10,281

総利益

191,228

総利益

29,509

総損失

-99,343

総損失

-19,228

総トレード

1,889

総トレード

383

勝ちトレード数

1,088

勝ちトレード数

227

負けトレード数

801

負けトレード数

156

勝率

58%

勝率

59%

最大損失

-815

最大損失

-1,396

最大勝ちトレード

1,826

最大勝ちトレード

1,053

勝ちトレードの平均利益

176

勝ちトレードの平均利益

130

負けトレードの平均損失

-124

負けトレードの平均損失

-123

買いトレード

27,034

買いトレード

709

売りトレード

64,852

売りトレード

9,572

 

 単純な条件で、勝率が58−59%というのは、短期トレードにとって決して悪くない数字であると思われる。特に売りトレードにおいては強い様子が伺える。TD OPEN(ウップス)に比べ、比較的順バリに近い技法と思われたので意外感がある。そこで、比較的長い上昇トレンドにあると想定されるソニーで検証してみた。

 

ソニー

TD TRAP

TD CLOP

総損益

12,560

総損益

680

総利益

39,840

総利益

7,220

総損失

(27,280)

総損失

(6,540)

総トレード

1,093

総トレード

203

勝ちトレード数

630

勝ちトレード数

113

負けトレード数

463

負けトレード数

90

勝率

58%

勝率

56%

最大損失

(530)

最大損失

(410)

最大勝ちトレード

550

最大勝ちトレード

400

勝ちトレードの平均利益

63

勝ちトレードの平均利益

64

負けトレードの平均損失

(59)

負けトレードの平均損失

(73)

買いトレード

1,490

買いトレード

(50)

売りトレード

11,070

売りトレード

730

ここでも、やはり売りトレードの方が圧倒的に損益が良い。TD TRAP、 TD 

CLOPともに、基本的にはウップス同様、売り優位の短期フォーメーションと考えられそうである。

 

ドル円相場

TD TRAP

TD CLOP

総損益

209.64

総損益

(8.20)

総利益

586.75

総利益

148.01

総損失

(377.11)

総損失

(156.21)

総トレード

1918

総トレード

599

勝ちトレード数

1027

勝ちトレード数

284

負けトレード数

891

負けトレード数

315

勝率

54%

勝率

47%

最大損失

(4.13)

最大損失

(7.28)

最大勝ちトレード

8.73

最大勝ちトレード

3.46

勝ちトレードの平均利益

0.57

勝ちトレードの平均利益

0.52

負けトレードの平均損失

(0.42)

負けトレードの平均損失

(0.50)

買いトレード

74.53

買いトレード

3.46

売りトレード

135.11

売りトレード

(7.28)

 

 ご覧の通り、TD TRAPはドル円相場(3市場つなぎ足)としては決して悪くない勝率といえる。一方、TD CLOPに関しては勝率47%、ドローダウンもTD TRAPよりも悪く、「使えないパターン」と言うことが出来る。特に、TD CLOPについては、売りトレードがトータルで損失になっている(最も最大損失と同額なので、これさえ回避できれば収支はとんとんなのだが)。

 

東京金

TD TRAP

TD CLOP

総損益

71

総損益

2

総利益

191

総利益

23

総損失

(120)

総損失

(21)

総トレード

84

総トレード

13

勝ちトレード数

53

勝ちトレード数

8

負けトレード数

31

負けトレード数

5

勝率

63%

勝率

62%

最大損失

(18)

最大損失

(7)

最大勝ちトレード

11

最大勝ちトレード

5

勝ちトレードの平均利益

4

勝ちトレードの平均利益

3

負けトレードの平均損失

(4)

負けトレードの平均損失

(4)

買いトレード

43

買いトレード

3

売りトレード

28

売りトレード

(1)

 検証期間が少ないのが玉に瑕であるが(1998/01/08から2000年1月7日まで)、単純なシステムにしては勝率が高い。使えるパターンと言うことであろう。もっとも、TD CLOPについては、最大勝ちトレードが最大損失を下回っていること、売買の損益が株式のパターンの逆であること(株式は「売り」で取ったが、金は「買い」の方がよい)が特徴といえようか。商品については、その他細かい検証結果は省略するが、一般的にはTD TRAPの方が良いフォーメーションであり、やはり株式同様、売りが損益的にも有利であったことが伺える。

 

JGB

TD TRAP

TD CLOP

総損益

12.35

総損益

0.46

総利益

36.25

総利益

5.69

総損失

(23.90)

総損失

(5.23)

総トレード

220

総トレード

45

勝ちトレード数

129

勝ちトレード数

21

負けトレード数

91

負けトレード数

24

勝率

59%

勝率

47%

最大損失

(1.73)

最大損失

(0.88)

最大勝ちトレード

1.17

最大勝ちトレード

1.00

勝ちトレードの平均利益

0.28

勝ちトレードの平均利益

0.27

負けトレードの平均損失

(0.26)

負けトレードの平均損失

(0.22)

買いトレード

5.57

買いトレード

0.46

売りトレード

6.78

売りトレード

(0.23)

(注 検証期間は97/10/13から99年10月12日。売買条件等はすべて同じ)

 

米国債先物

TD TRAP

TD CLOP

総損益

10 4/8

総損益

9 7/8

総利益

35 5/8

総利益

16 3/8

総損失

-25 1/8

総損失

-6 4/8

総トレード

145

総トレード

39

勝ちトレード数

87

勝ちトレード数

25

負けトレード数

58

負けトレード数

14

勝率

60%

勝率

64%

最大損失

-2 3/8

最大損失

-1 4/8

最大勝ちトレード

1 1/8

最大勝ちトレード

2 5/8

勝ちトレードの平均利益

3/8

勝ちトレードの平均利益

5/8

負けトレードの平均損失

- 3/8

負けトレードの平均損失

- 4/8

買いトレード

-3 5/8

買いトレード

2 3/8

売りトレード

14 1/8

売りトレード

2 5/8

(注 検証期間は98/10/13〜99/10/08)

 

BUNDS

TD TRAP

TD CLOP

総損益

4.23

総損益

6.80

総利益

22.62

総利益

10.69

総損失

(18.39)

総損失

(3.89)

総トレード

156

総トレード

41

勝ちトレード数

85

勝ちトレード数

27

負けトレード数

71

負けトレード数

14

勝率

54%

勝率

66%

最大損失

(1.18)

最大損失

(0.60)

最大勝ちトレード

1.25

最大勝ちトレード

1.88

勝ちトレードの平均利益

0.27

勝ちトレードの平均利益

0.40

負けトレードの平均損失

(0.26)

負けトレードの平均損失

(0.28)

買いトレード

1.19

買いトレード

1.52

売りトレード

3.04

売りトレード

1.88

(注 検証期間は98/10/12から99/10/11。)

 

 債券相場においても、TD TRAPは十分に使用に耐えるもの、ということができそうだ。一方、TD CLOPはJGBではマイナス、ブンズ、米債ではむしろTD TRAPより良好な結果となっている。勝率60%以上はなかなか魅力的であろう。

 

どう活用するか

 

 2000年1月時点での筆者の結論を述べる。TD TRAPは使えるパターンである。単純なシステムではウップス並の勝率を誇る。ドル円相場や日経平均等、効率的市場ではなかなかウップスシグナルが出ないので、それを補完する意味でも十分活用したいものだ。また、ウップスシグナルの利食いやロスカットにも使え、商品先物を利用するトレーダーにとっても価値の高いものであろう。ただし、筆者のように通貨市場を中心に見る場合、ユーロ・ポンド等の欧州通貨には殆ど使えない点、注意が必要だ。あるいは、トム・デマークがヘッジファンドのシステムを作っていた経緯から、更にその裏をかくシステムを誰かが作ってしまっているのかもしれない。債券先物に関しては、今のところその心配はなく、JGB、米国債、ブンズともに使用に耐える。

 一方、TD CLOPは商品を選ぶ。一般にフォーメーションが形成される機会が少なく、どうしても必要なパターンとは思われない部分が残る。だが、TD TRAPなどと併せて観察に利用したり、TD TRAPではストップが遠すぎてマネーマネージメント上問題があるケース等でストップのポイントとするなどの利用法が考えられよう。筆者は基本的に、TD CLOPのみでトレードするのは反対である。どうしても、というのであれば主要国の債券先物にのみとどめておくべきではないか、という感触を持っている。(続く)