2018年2月発売/四六判 328頁 ISBN 978-4-7759-4193-5 定 価 本体2,000円+税
著 者 ドナ・ジャクソン・ナカザワ 訳 者 清水由貴子
著者のナカザワ氏は、自身も8歳の時に父親と死別。子育てとジャーナリストとしての仕事を両立しながら、10年以上ものあいだ、何度か死に至るような自己免疫疾患と戦ってきた。40代では、ギランバレー症候群を2度経験。慢性的な病気に悩む女性の力になろうと、サイエンスライターとして、神経科学と免疫システム、人間の心の最も深い部分の働きの関係について書いてきた。
そして2012年、ACE(Adverse Childhood Experiences:逆境的小児期体験)という画期的な公衆衛生調査研究に出あう。ACE研究では、さまざまな子ども時代の逆境と、成人後の身体疾患および精神障害の発症には、明らかに科学的な因果関係があることが証明されている。逆境には、暴言や侮辱、精神的または物理的なネグレクト(育児放棄)、身体的または性的虐待、親のうつ病、精神疾患、アルコールや他の物質への依存などが含まれる。当初は10項目が挙げられていたが、その後の研究によって、他の小児期のトラウマ(親との死別、きょうだいの虐待など)も長期間にわたる影響を及ぼすことが明らかになった。
そうしたナカザワ氏の研究の集大成ともいえるのが本書である。小児期の経験が大人になってどのように影響するのかが、アメリカの複数の家庭の例を挙げながら解説されていく。日本でも逆境的体験を余儀なくされる子どもは多いが、アメリカでは深刻で痛ましい例が多く、研究も進んでいる。今後の日本でのACE研究と対策の道しるべになる1冊と言えるだろう。
なお、『小児期トラウマと闘うツール』(2019年、パンローリング)は、本書の続編にして医療者による実践編ともいえる。
目次 はじめに パート1 私たちはどうやっていまの自分になったか 第1章 どんな大人も昔は子どもだった 第2章 異なる逆境が同じ病気を引き起こす 第3章 傷つきやすい人とそうでない人 第4章 逆境の女性脳――自己免疫疾患、うつ病、不安症との関係 第5章 人並みの家族 パート2 小児期逆境後症候群からの回復 第6章 回復への旅 第7章 専門家の手を借りて小児期逆境後症候群から立ち直る 第8章 虐待を受けて育った人の子育て――あなたと子どもを助ける14の方法 終わりに 著者紹介
原書
原著『Childhood Disrupted: How Your Biography Becomes Your Biology, and How You Can Heal』
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(愛知県 M.Y様 30代)
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