『マンガ 商品先物取引入門の入門』

基本用語から取引まで

■目次

はじめに
プロローグ
第1部 商品先物取引のしくみ
第2部 商品先物取引をやってみよう
付録1 銘柄紹介
付録2 商品先物用語辞典

※マンガの画像は準備中です。

■はじめに

 「先物取引」という言葉を聞くとみなさんは、どんなイメージを持たれるでしょうか。ハイリスク・ハイリターン、小説『赤いダイヤ』に出てくるような派手な仕手戦、そしてよく言われるのが、危険な投機、という言葉です。ややもすると、長期の株式投資なら安全だけど、短期の投機は危険。先物なんてとんでもない。などという言葉が聞こえてきそうです。

 かく言う私も、十数年前に株式売買の世界から、商品先物の世界に足を踏み入れた頃はそんなイメージを持っていました。しかし、投資と投機の境目なんて曖昧で、相場の上げ下げから売買によって利益を得ようとする行為としてはまったく同じです。いくら株式の長期投資でも、株価が2分の1、3分の1になっても損切りせずに持っていれば、時価で大損している事実は変えようがありません。逆に、短期売買でも、利をしっかり伸ばして損切りをきちんとする「損小利大」が実践できる人は、利益を上げ続ける可能性が高いといえます。

 本書の中でも触れていますが、先物取引や株式売買などの相場と、ギャンブルの大きな違いは、それが経済行為であるかどうかということです。あなたがガソリンの先物を1枚買うことは、ガソリンの価格形成に参加しているということでもあります。先物先進国のアメリカでは、先物価格がその商品の価格指標になっています。

 戦後の日本は、長い間官僚主導の統制経済に慣らされていたために、原材料を先物市場でヘッジをするという発想は、一部の商社を除けば、多くの産業で皆無に近かったといえます。統制経済では値決めを市場価格にゆだねるという発想がないため、ヘッジの場としての先物のニーズがなかったわけです。

 ところが近年、国際的なグローバリズムに後押しされてか、経済を市場にゆだねてみようという動きが活発になってきました。商品先物の上場品目が増えてきたのも、このような背景があるものと思われます。旧来の商品先物上場商品は、小豆・生糸などといった、どちらかといえばローカルな国内商品が多かったのですが、近年上場された商品は、石油製品など国際商品が多いのも特徴です。

 われわれ個人投資家の側からみても、このように多くの国際商品が増えてきたことは有益です。加えて売買手数料が劇的に下がったことで、利益機会が増えたというのも事実です。これまで株式の売買経験しかなかった方も、本書で一度先物の世界を覗いてみることをお勧めします。

 株式売買に比べ、制約が少なく自由度が高いのも先物の特徴です。例えば、株の信用取引は先物と同じように空売りができますが、信用銘柄でなければ空売りはできませんし、逆日歩・貸株料などの余分なコストもかかります。この点先物にはそのような制約がなく、売りからでも買いからでも全く自由です。

 ただし先物取引は、少ない証拠金で多額の商品を売買しますので、リスクも大きいのも特徴です。資金管理・自己管理がしっかりできていることが、売買参加の条件です。もちろん先物取引の仕組みやルールもしっかり学んでおかなくてはなりません。本書を手にしたあなたが、この点を充分理解したうえでこの世界に踏み込むきっかけになれば、監修者にとって望外の喜びです。

 最後に本書の出版にあたって以下の方々に心から感謝の意を表します。素晴らしい漫画を描いてくださった斉藤あきら氏、デザイン担当の新田和子氏、短期間にこれだけの本をまとめていただいた編集の蔦林幸子氏、そしてパンローリング社社長の後藤康徳氏。皆様のご尽力に深く感謝いたします。

 2004年5月   羽根英樹


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